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第二十一話 封じられた指輪

作者: 月歌
last update 最終更新日: 2025-02-26 11:00:00

◆◆◆◆◆

王宮の広間に、ルイスと王だけがいた。

王宮の奥深くにあるこの謁見の間は、普段よりも静かで、外の喧騒がまるで別世界のようだった。

ルイスは父である王を見つめながら、真剣な口調で進言した。

「魔王領の調査と開拓を正式に進めたいと考えています。」

王は微かに目を細める。

「魔王の領地をか……?」

「はい。魔王は討たれました。しかし、あの地には未だに強い魔力が残り、人々が踏み入ることができません。」

ルイスは王へと一歩進み出て、続けた。

「王国の領土として、魔王領を無秩序なまま放置すれば、他国の介入を許すことになります。」

王はゆっくりと指を組み、考え込んだ。

しばらくの沈黙の後、低く口を開く。

「……確かに、お前の言う通りだ。」

「では、許可を?」

「許可しよう。」

ルイスの胸に安堵が広がる。しかし、王の次の言葉が、その余韻を一瞬で断ち切った。

「だが、お前にはもう一つ、密かに果たすべき任務がある。」

王は横に控えていた侍従に合図を送り、小さな黒い箱を差し出させた。

「……これは?」

王は箱を開いた。

中には赤い宝石の指輪が収められていた。

透き通るような、深紅の輝き。

それはただの装飾品にも見えたが、どこか不吉な雰囲気を感じさせる。

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